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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter84 『三日月とソフトクリーム』 84-12


ゴポポッ

(水圧が身体に圧し掛かる。 空気の泡が、口からもれたが、
その感覚は、来た時と同じものだ。)

『帰れる。』

(ソラの身体は、ミイを抱いたまま。 水中で、ゆっくりと
回転した。 気泡が、赤い羽根や、大きな腕を滑り。 上へと泡立ち
消えて行く。)

コポッ・・

『水・・、エメラルド色の・・。』

『ああ。 そうだ。』

『そこで、泳ぐの。 好きだったっけ。』

『気持ち良い。 ・・国中の、景色が。 見渡せるから・・。』

(水の中を通る、ソラの。 鮮やかな水色の髪が、
ゆっくりと揺れる。)

『なんだ、この感じ・・?』

(身体が沈んでいるのか、それとも浮いているのか。
方向を見失う流れの中で。 一瞬のうちに、不思議な光景が、
光に乗り、目の奥に現れた。)

『あいつ、元気にしてるかな?』

(ソラの目に過ぎったのは、まるで、南国の。 宮殿の、プールサイドの様な
場所だった。 広い水辺で。 大きな鳥の様な生き物が、一匹。
誰かを探し、その首を上げた。 顔を上げた生き物の、横たえた手は、まるで



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