HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter84 『三日月とソフトクリーム』 84-16


***

トッ

カタンッ

(スニーカーの靴が、2階の玄関前に戻った。)

ピンポーン

(後ろから、背の高い人物が手をのばし、白手袋の手で。
ドアベルを鳴らす。)

「は〜い♪ おかえり〜。」

(ドアの向こうから、千波が出迎えた。)

「あっ! なにv お土産買って来てくれたの?」

「上がって、菖蒲くん。 紫苑ちゃんとお菓子食べてたんだけどね。」

「菖蒲くんの分、とってあるからv」

(千波は、笑顔でまくしたて、ちょこちょこと。 可愛らしく、菖蒲に手招きした。)

「ただいま。」

(夏樹は、穏やかな深い紺色の瞳で微笑み。
後ろに立つ菖蒲は、恐縮しながら。 嬉しそうにうなづいた。)

「只今、帰りました。 あの・・、頂いてよろしいのですか?」

「うん♪ ど〜ぞ〜v 夏樹のなに?」

(少しうつむきながら、スリッパに履き替える夏樹の。 深い、紺色の髪が揺れるのを
見ながら。 千波は、夏樹の手から、白い可愛らしい箱を受け取った。)



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