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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter84 『三日月とソフトクリーム』 84-17


「!/// きゃ〜っ! これっ。」

「ロイヤルミルクリームじゃないっ!///v」

「しおんちゃ〜んっ♪」

(千波はぱたぱたと、夏樹の部屋に引き返して行った。)

(開いたドアの向こうから、紫苑が顔を出し、
夏樹を見た。)

「お帰りなさい、夏樹くん。」

(夏樹は笑顔でうなづいた。)

「ただいま。」

(部屋の中は、小さなお茶会が開かれたようで。
主の居ないあいだに、にぎやかに様子を変えていた。)

(紫苑は、先ほどまで座っていた。 所定の位置である、
ソファー前の床に。 小さなクッションを置き、腰を下ろした。)

(新しく沸いたお湯で、菖蒲が。 ティーポットからお茶を注ぐのを横目で見て。
夏樹は、部屋を横切り、ベランダの窓を開けた。)

カララッ

『あの、赤い羽根。 なんだったんだろう?』

(異空間の中で、追い詰めた気配が消えたとき、ふわりと1枚の赤い羽根が。
夏樹の手もとに舞い飛んだ。 白い指先が、触れようとすると、それは消えてしまった。)

(夜風が、白いカーテンを少しゆらし、夏樹は瞬いた。
風が、労をねぎらっている様な気がした。)



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