HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter84 『三日月とソフトクリーム』 84-7


ドーンッ・・バララッ・・カシャンッ!

バリンッ

「・・っ。」

(ソラは、衝撃と落下物から。 ミイを守りながら、
僅かに開いた目で、怪物と人影が落下した。 自分たちのいる箱の、砕けた床
前方をなんとか見た。)

『あれが、《闇》か・・。』

(砕け散るガラスの天井が舞う中、薄目を開け、ソラはそれを見た。
黒くうごめく四肢は、ライオンの爪の様にみえたが、身体を覆っているものは、
毛ではなく、流動する。 溶岩のようにぼこぼこと泡立つものだった。)

「ミイは、見ない方がいいな。」

(腕の中で、小さく揺れる、ミイの不安を感じながら、
ソラは上半身を上げた。)

「・・はぁっ。 すげー。」

(黒い怪物の巨体は、崩れかけたガラスの床の隅から、だらだらと黒い雫をこぼし。
底なしの夜空へ落ちかけていたが。)

(その足元に、小柄な少年が、立ち止まっていた。)

(少年は、ソラたちの方へ見向きもせず。 悲しげな、冷たい表情を浮かべ。
そっと。 その白い腕を、黒い液体のうねる腹のあたりへ差し込むと。
流れる液の間から。 光り輝く、小さな。 ダイヤモンドのような欠片を取り出した。)

「! 《欠片》 ピュア、あれがそうかっ?」

「あいつも《欠片》を集めてるのか?」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ