HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-10


侍女は、ただならぬことが、この国で起こっているのだと。
予感せずには、いられなかった。)

「サラさまは、また占術の間へ。

その後は・・。」

(侍女は報告をしようと、セナの後をついて、
城の巨大な、正面階段を、1段1段、再び上ったが。)

(セナと呼ばれた男性は。 落ち着いた眼差しで、うなづくと。
侍女がそれ以上語らずとも、全てを察するかの様に、
深い、吐息をもらした。)

「・・。 困ったことだ。

あの方は、気に留めぬ風に見えて。

宿るべき命が、消える様から、目を逸らそうとしない。」

「信じているからと、あの馬鹿を異界に送り出し。」

(そこで、後ろを歩いていた侍女は、あわててせき払いした。)

「/// んんっ、セナさまっ/// ソラさまはっ・・。」

(セナは涼しげに光る、透明な瞳を細めた。)

「エアリエル国、《王室専属魔導師》である、この私を欺き。

禁じられた、闇の魔術に触れていた。」

「王位を継げなくとも当然だ。」

(長身の背中に、薄水色の髪が揺れ。 まるで、ガラスの様に美しく、
長く。 ゆるやかに束ねられた髪が、石造りの階段の先、長く続く



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ