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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-9


「元老院がなんと言おうと。

あの子は王にふさわしい。」

「けれど、

選ぶのは、ソラ自身ではないと婆が言っていたわ。」

「誰かが、ソラを王に選ぶと・・。」

「それは、この国自身なのかしら・・?」

(サラはクウの温かな羽毛を抱き寄せ。
鼓動するその胸元に、頬を寄せた。)

***

コツッ コツッ・・

(大きな杖先が、石造りの階段の、上を音を立て上った。)

(階段の中ほどにさしかかった時。
宮殿の入口前から、その人物の帰りを待っていた侍女らしき女性が、
スカートの裾を両手で持ち上げ、
帰りを待ちわびたように。 走り寄って来た。)

「セナさまっ。」

「お帰りなさいまし。」

(侍女は膝をつき、丁寧に、その人物を迎えた。)

(星屑を集める夜空の輝きは、いつも通りであったが。
まるで、光を集めた様に輝く、その人物の銀のローブの肩から、
また、振り向き視線を上げたその透明な瞳から。 発せられる気配に、



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