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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-14


目を向けさせるため。」

「ソラが、言う通りかもしれないわ。」

(サラは穏やかに微笑んだ。)

「サラ・・。」

「ここは冷える。」

「見守って居たいなら。 私が代わろう。」

(そっと寄り添ったセナに、サラは首を振った。)

「キレイね・・。」

(サラは大きな巨木の下に座り。 頭上を見上げた。
金の細い髪の上に、薄いドレスの上に。
小さな花びらは、次々と舞った。)

「この国が、滅びるかもしれないというのに・・。」

(見上げるその巨木は、聖なる光の樹の一つ。
王族を生みだす大きな樹も、国土に残された、聖なる光の木々と同様に。
花を散らす悲運から、逃れられるものではなかった。)

「悲しいだけじゃないの・・。」

(花びらが舞い散る様子が、儚く。 あまりに美しく。
それは、悲しみとともに、感動をサラの心にもたらした。)

「どうしてこんなに、美しく散るの?」

「心に残る景色のようで・・。」



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