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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter85 『花弁』 85-2
祈りの言葉が。 水鉢の底へと、溶け込んでゆく。)
ボボッ・・
(水鉢を、温めている炎がゆらめき、老婆は目を開けた。)
「はっ・・。」
キイッ
バタンッ
(同時に扉が開き、老婆がただ一人、たたずんでいたその部屋の
暗闇の中に、夜の光をまとい、煌びやかな光が、扉から溢れ、
射し込んで来た。)
シャララッ
(外の夜光と共に、現れたその人物の。
まとう絹の様な薄布のドレス。 また、腕や胸元。 耳元に留められた
美しい装飾。 何よりも、黄金色の細く、長い髪が。
肩からしなやかに。 長いドレスの先、巨大な回廊の石板の上に
キラキラと流れる様子は、夜光の中にも眩く、
老婆は目を細めて微笑んだ。)
「・・サラ。」
「ソラは、無事地上についたわい。」
じゃが、やはり異世界への道は。
時の流れが違う。 よほどの腕をもたぬかぎり、
こちらと同じ速さの《時》には、降りられぬ様じゃ。
しかし。 それもまた、出会うべき時。」
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