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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-5


(柔らかに微笑むと、静かに立ち上がる。)

「・・、ソラなら答えを見つけるわ。

そう、信じているから。」

(薄布の、ドレスの裾が、床に舞う。)

キイッ

「また来るわね。」

(サラは老婆に微笑むと、ふたたび。 石造りの巨大な回廊へと、
踵を返した。)

「答えか・・。 ふむ。」

(ドアの向こうに消える、金の長い髪を見送ったあと、
老婆は水面へ視線を落とした。)

「・・お主ならどうする・・?」

「《鍵》は、内より開くもの・・。」

「この国の行く末も・・。 魔女の《願い》も・・。」

「そなた次第なのではあるまいか・・?」

「この危機にあっても。 お主のことじゃ、

どこぞでゆうゆうと。 人なつこい笑顔でも浮かべて、

眺めているのではあるまいか?」

「ルイよ・・。 そちのまいた種であろうが。」



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