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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-7


カツンカツンッ

(美しい白い靴が、石造りの巨大な回廊を静かに渡った。)

(長いドレスの裾に手をやり。 サラは、回廊の中ほどで立ち止ると。
柱だけのその回廊の、頭上に果てしなく広がる、広大な夜空に、
顔を上げ、見入った。)

「あの星のどこかに、ソラはいるのかしら?」

「それとも・・。」

(夜空から射し込む光に、サラの細く、長い金色の髪が揺れ。
静かに揺れる、薄布のドレスの上で、美しく流れた。)

(立ち止まった回廊の中ほどは、右手側にちょうど、広い水場が設けられており。
小高い丘の上の、宮殿の中央に位置するその場所は。
ソラが好み、訪れ。 よく遊んでいた場所だ。)

「クウッ・・」

(四角く広いプールの端に、現れたサラの人影に。
その場で休んで居た、一匹の生き物が。 その大きな顔をあげた。)

「クウ。 まだここで待っていたの?」

「ソラと、遊ぶ約束をしていたものね。」

(サラはプール脇に歩み寄り、そっと。 巨大なその生き物の、
柔らかな羽毛が生える、首元を優しく撫でた。)

「クゥッ」

(生き物は、サラの背丈の倍ほどもあり。 上半身はまるで巨大な鷲のよう。
大きな翼と、鳥の顔を持ち。 するどい嘴がなにか言いたげにカチカチと動き、
巨大な金色の瞳が瞬き、サラを見た。 その四肢は柔らかな毛でおおわれ、



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