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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter85 『花弁』 85-8


ライオンの様に鋭い爪を持つ大きな手足を持っていたが。
夜光に光る、ふわふわと柔らかなオレンジ色の毛並みは。 恐ろしさよりも、
温かさを持って、寄り添うサラに。 触れる様だ。)

「あなたも寂しいのね。

村の子たちも寂しがっているわ。」

(サラはクウと呼んだその生き物とともに、
プールサイドを歩き、その先。 夜光を映す水が、揺らめくプールの向こうに見える。
丘の上からの、眼下に広がる。 広い国土を見渡した。)

「ソラはこの場所が好きだったの。

ここからだと、内緒で城をぬけ出さなくとも。

村までの様子が良く見えるものね。」

「・・。 ああ、なんてひどい・・。」

(祭事を催す、祭の広場から先。 大きな大聖堂が立つ村の外れから。
砂界と呼ばれる砂漠の海にかけて。
まるで、その場が焼け焦げてしまったかの様に。 暗い、墨を流したような、
不気味な影が。 国土を覆っていた。)

「《砂界》・・あそこが、

異世界との境界になっていたなんて・・。」

「ソラは気づいたのに、話してくれなかったのよ。」

「闇の魔術をこっそり使っていたことを、しかられると思ったのかしら?」

「いいえ。

そこを通って戻った王はいないのだから。 許されないと思ったんだわ。」



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