HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter86 『理由』 86-11


「手、切らないでよっ;」

(背の小さなミイは、おそるおそる、まな板の上を覗き込んだが。
ソラは長身の背を屈め。 慣れた手つきでトマトを切った。)

トンッ トンッ

「あのなぁ、だてにレストランでバイトしてね〜。」

「こんな王子居たら、見てみて〜よ。」

ボオッ ジューッ・・

(ソラは手際よく、卵やハムを焼き始め。 香ばしい香りは、小さな四角い窓から、
外の民家が立ち並ぶ住宅街へ、湯気と共に流れ。 小さなテーブルの上を照らす。
ランプの傘の上へも、明るい日差しとともに。 朝の香りを漂わせた。)

「ミイ、皿とって。」

「うん///」

(ミイは、流し台の側から離れ。 背をのばし、食器棚からお皿をとると。
コンロの前に立つソラを遠くから見た。)

『ねぇ、ソラ・・。』

『このままじゃ、だめかな?』

(ミイの小さな手が、そっとお皿を握り締め。 胸の前で抱いた。)

『異世界の記憶も、思い出さないで。』

『あの怖い生き物にも、もう出会わないで・・。』

『そしたら。』



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