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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter86 『理由』 86-2


「・・彩さん。 それが、彩さんの本意だとは思っていないよ。 欠片から、

闇を取り除く方法を。 考えてくれているんだろう。 だから、聖と組んで。

街に出た僕を、何か調べようとしていることも。 それを、静乃さんや皆に、

内緒にしていることも、

僕は気にしていない。」

「それを聖が望んでいるなら。 僕は、力になりたい。」

「彩さん、FOTは唯一国家公認の能力者組織だろう? 闇の謎を解くために、

力を合わせる必要があるならば。 お互いに、機密を持つのはやめよう。」

「機密組織っていうのは、そういう意味じゃないと。 僕は思ってる。」

「街の人たちを、危険にさらさないために。

機密を持っているんじゃないのか?」

(ただ、健診に誘いたい一心で。 連絡を待っていた彩は、早朝からの。
ここまで一気に語りかける、夏樹の反撃に。 額に手をやり、頭を抱えた。)

[「ずいぶん、ご機嫌ななめね・・。」]

[「それだけ言えるなら、元気な証拠だけれど。」]

[「彼女とケンカでもした? ふふっ。 私は健診に来てほしいだけなんだけど・・。」]

[「今日は、無理みたいね。 それで、顔も見せてくれないの?」]

(パソコンのモニターは、初期画面に戻され。 赤い両羽根の紋章から、
聞こえてくるのは音声だけだった。)



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