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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter86 『理由』 86-24


(穏やかに微笑んだ、深い紺色の瞳は。 驚くべき効果をその場にもたらした。
凍りついていた気配は溶け出し。 包み込む様な温かさで、夏樹から流れ出る気配は、
ソラに力を与えるようにさえ思えた。)

『こいつ・・。』

『味方にすると、百人力だけど。 敵にしたら怖いタイプって、こういう奴かもな。』

「ははっ/// サンキュー。」

「誰かをさ、守りたいと思うだろ?」

「そんな時、無力で・・。 ただ見ているだけなのが、一番つらい・・。」

『俺は、いつもそうだったんだ・・。 あの時も。』

『光の魔術を全く使えなかった。』

『だから、闇の魔術に触れたんだ。 使えるなら、何でもいい。』

『大切な人を、守るためには、力がなければ・・。』

(ソラの中に、記憶の断片が、想いとなって。 ほんの少しだけ蘇ってきた。)

「あれ? 俺、少し思い出した様な気がするよ。」

(水色の瞳が、嬉しそうに笑った。 高く上り始めた異空間の太陽の日差しが。
暗やみの中に浮かび、切り取られたその場所を。 天から高く照らし出し。 鮮やかな
水色の髪を、光らせた。)

「ん?」

(夏樹も興味を持ち、ソラの鮮やかな瞳を覗いた。)

「今度ゆっくり、話すよ。 いろいろあるんだ、俺も。」



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