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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter86 『理由』 86-25


「ふっ、いろいろか。」

「その、FOTって何?」

(ソラは、夏樹の胸元に留まった、小さな赤い羽根のピンバッジを指さした。)

「・・関わらない方が良い。 とだけ、言っておくよ。」

「あ、わるいけど。

そろそろいいかな?」

「次の課題やってないから。」

(左腕に留めた腕時計を見て、夏樹は一歩、歩き出した。)

「? 課題?」

(何のことかと、ソラの目は点になった。)

「えっ? 何、見して。 英語の課題?」

「えらっ。 お前、勉強してんの。」

(夏樹の白い手が、皮鞄から教材を取り出し、急いで教室に戻ろうとするのを見て、
ソラは感心した。)

「めったに出られないから、居るときくらいは。」

「あとは、ノート借りてる。」

(ソラはますます感心した。)

「へ〜、俺なんて、バイトだけで精一杯だぜ。」

「基本、授業は寝てる。 お前、あれだけ強いんだから、勉強しなくていいだろよっ。」



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