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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter86 『理由』 86-6


「上の方は、まとまっていない。」

「・・彩さんが、否定してくれればと思ったのに・・。」

(深い紺色の瞳を歪め。 夏樹は苦笑した。)

「これで、国にも僕がマークされてるのがはっきりした。」

「おかしいと思った。 紫苑さんを監視するなんて理由で、

外に出れるはずがない。」

「何を考えているんだろう・・? 敵は強くなっているのに。

こんなにバラバラで何ができる。」

「あれだけ、僕につきまとっていたのに。 聖から連絡がないのは、

悪い証拠かもしれないな。」

「案外、嘘をつくのが、下手な人だから。」

「顔を合わせたくないのかもしれない。」

(瞬きし、一つ息をつくと。 夏樹は、階段を下り始めた。)

「街の人々を守るため・・か?」

「矛盾してる・・。 周りの人を、一番危険にさらしているのは、僕じゃないか。」

『もしかしたらと、思ったんだ。』

『ここに、居る必要はない。』

(階段下に辿りつき。 草木が香る、石の小道から。 門の外へ出た。)



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