HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter87 『決行』 87-12
(夏樹がさらりと、思いもよらぬ事を口にしたので。 菖蒲はあっけにとられ、
口を開いたまま、ドアを閉めることも忘れ、夏樹を見つめた。)
「菖蒲、聖は。 いや、国の人たちは、僕に街の中で、大いに力を使わせたいんだ。」
「だから、僕を、外に送りだした。」
「紫苑さんがFOTを知ったことは、偶然かもしれないけれど。 その機密を守るかどうか、
彼女を監視するなんて。 最初から目的じゃなかった。」
「始めから、僕が闇に与える影響を知りたかったんだよ。」
「どういうことなのか、僕自身、知る必要がある。」
「・・ショックを受けているようには・・見えませんね? 私は驚きました・・。」
(真剣な、深い紺色の瞳が、見つめ返し。 その瞳の輝きは色濃く。 夏樹の表情は、
落ち着いていた。)
「悲観的になっている場合じゃないからな。」
「街に出たいと決めたのは、僕だ。」
「聖が考えたか、国の策略か分からないけど。」
「選んだのは、僕なんだよ。」
「今のところ、紫苑さんや、周りの人に影響がないことが、
せめてもの救いだな。」
「力を使わなければ良いなら、そうするのに・・。」
「それで、闇化が止まるわけじゃないみたいだ。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』