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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-13


「欠片がある限り、終わらないことなのかもしれない。」

「菖蒲こそ、僕を連れて行くのを。

止めても良いんだよ?」

(広いリムジンの後部座席、やわらかなクッションに腰を沈めながら。
意味ありげに、微笑んだ、深い紺色の瞳が揺れた。)

「僕の執事を辞め・・。」

バタンッ・・!

「うっ・・。 乱暴だな・・。」

「車。 壊すなよ。」

(菖蒲は、自分を見上げる主人の。 白い頬が微笑む鼻さきで、思い切り後部座席の
ドアを閉めた。)

(夏樹は思わず笑い、勢い良く閉じた反動で、紺色の前髪は、風に吹き上げられた様に、
くしゃりとなった。)

カチャッ パタンッ

「・・。 それ以上、言わないでくださいね。」

「簡単な気持ちで、お仕えしていると思われては、困ります。」

「私は、仕事だから、一緒にいるのでは

ありませんよ。」

(静かに運転席に乗り込んだ菖蒲は、珍しく。 怒っているようだった。)

(執事というには、横柄な態度だろうと、夏樹は内心思ったが。)



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