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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter87 『決行』 87-14
(同時に、胸の奥に湧き起こった想いに、涙が出そうになるのを
こらえた。)
「・・ありがとう。」
(動き出した車窓は、あっと言う間に景色を隠し。 黒と紫の
マーブル模様の気流の中へ。 夏樹を運んだ。)
サァァッ・・
(僅かに開いた窓から、風見市の風が、夏樹の頬を撫でた。)
(海風は、日中の太陽の熱を帯び、蒸気と暑さを夏樹に届けた。)
『風か・・。』
『僕に、味方してくれ。』
(それは太陽の暖かさを思わせ、それは、一人の人物を思い出させた。)
「菖蒲。 何かあっても、FOTのメンバーには連絡しないで。
聖に見つかると、国の人たちに筒抜けだ。」
「しかし、夏樹様・・。」
(菖蒲は心配し、ミラー越しに、夏樹を見た。)
「大丈夫。 もしもの時は、
FOTに気づかれない人が・・。 助っ人に来てくれるかもしれないから。」
「? 助っ人ですか?」
(菖蒲は不思議そうに瞬きし、後部座席で夏樹は笑っていた。)
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