HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-26


【くっくっくっ・・。】

(冷やかな声は、満足げに笑い。 紫苑を放した。)

「(こほっ。 こほっ。)」

(呪縛から、一時。 解き放たれた紫苑は、詰まる喉に、せき込み。
茶色の瞳に涙を浮かべた。)

「んん・・っ。」

「はぁっ、はぁっ。」

『どうしようっ・・。』

「夏樹くん・・っ。」

(紫苑はその場にくずおれた。 フェルゼンに告げたのは。
学校で目にした、夏樹が手にした通信機に、映し出されていた場所だった。)

「ん・・っ。」

(紫苑は、しびれる感覚の残る指先で、両手を握り、
途方に暮れた。)

「ピヨッ」

「あっ///」

(スカートのポケットから、小さな青色に染まったひよこが。
顔を出し。 紫苑を、心配そうに、小さな瞳で見つめ。 鳴いた。)

「ピヨちゃんっ!///」

「お願いっ、夏樹くんのところへ連れて行って。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ