HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter87 『決行』 87-27
(紫苑は、両手でふかふかの羽毛に触れ、ピヨを抱き上げた。)
「ピヨピヨ」
「《夏樹くんのところ》」
(小さな嘴が、開き。 紫苑の声を再生した。)
コォォォォーッ
(異空間の道へ導く気流が、紫苑の足元に湧き起こる。
回転する風を巻き込み、クリーム色に輝く光を呼び起こし。
紫苑を空間通路が包み込んだ。)
シュンッ・・!
ピカッ・・ ゴロゴロゴロッ
(風見市上空を覆う、厚い雲の向こう。 鳴り始めた雷鳴と共に、
紫苑の姿は、異空間の向こうへ消えた。)
***
パリリッ パリッ・・
(ソラは水色の瞳を上げ、頭上のビル群の先。 いつの間にか、
灰色の雲が覆い始めた、上空を見上げた。 ビー玉の様な瞳に、
チラチラと。 黄色の閃光が映り、瞬く。)
『あいつ・・、今日休みだって言ってたのに。』
(それは、雷にも見えたが、ソラは胸騒ぎがした。)
「雨・・降りそうだな。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』