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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter87 『決行』 87-3
(落ち着いた物腰で、白手袋の手が、アンティークのティーポットから。
そっと、重厚な木目のテーブルの上に置かれた。 美しいカップに、紅茶を注いだ。)
「くっくっ。 意見? どうかな、
橘。 あの石頭は、断れない僕が、困る顔を見て笑いたいんだよ。」
「どうぞ。 僕は、そのために。 夏っちゃんを街へ送り出したんだよ?」
「いつ決断してくれるのか、待っていたのは僕の方さ。」
「いつもね、見ると眉間にしわを寄せて、難しい顔をしているくせに。
考えているばかりで、行動を起こしはしない。」
「・・橘。 あいつは少し、皆がどんな思いで欠片を集めているのか、
知った方がいいね?」
「・・研究所を手にしているものだから、欠片を手にするのは、
自分だと思っているようだ。 欠片の謎を解き明かす為に、
貸してあげているだけなんだけど。」
「僕は、誰にも欠片を渡しはしないよ。」
(風見市に起きた闇の一つから、欠片を取り戻し、遠く離れた屋敷の自室に戻った聖は、
橘からの報告を聞きながら。 そっと、アンティーク机の小さな引き出しを開けた。)
カタンッ
(引き出しの中に、金色の拳銃を仕舞う。 その隣には、幾年も開いていないかの様な、
古びたフォトフレームが仕舞われていた。 聖は、引き出しを閉める僅かの間、
フォトフレームの存在を、意識に留めた。)
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