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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-4


「ほっほっ。 私には、それは。」

「石垣殿と、変わらぬことではないかと、思われますが。」

(英国紳士風の老執事は、ティーポットを片手に、白い髭の奥で、穏やかに微笑み。
丸い小さな眼鏡の向こうから、語りかける様子は、何気ない日々の会話と
同じだった。)

「? そうかな。」

(聖は意外そうに、そしてことさら楽しげに。 金色の瞳を細めて笑った。)

「・・今夜決行されるべき、国からの命令には。 被験者の欄に、

夏樹様のお名前が。 サンプルには、短命のものをと、私には読み取れましたが。」

「官邸へ、向かわれなくてよろしいのでしょうか?」

(穏やかな物腰は、いつもと変わらなかった。 だが、橘は、向かうべきだという
願いを込めて、聖に告げた。)

(机から離れると、聖は橘に近づき、ゆっくりと、笑みを浮かべ。
微笑んだ、金色の瞳は。 アンティークの窓から射し込む金色の日差しに、一際煌めき。
ゆったりと、テーブルの上、ティーカップの前のソファーへ、腰を沈めた。)

「何を実行しようとしたのか。

分れば、自分から。 僕に会いに来ると思うよ。」

(静かに、ソファーに身を沈めながら。 聖は、室内のやや上方へ視線を向けた。
金色の瞳には、強い煌めきがあったが、眩い銀の流れる美しい髪から覗く、表情は、
どこか、疲れが見える様にみえた。 それでも、ソファーに流れる煌めく銀髪のせいか、
眩しいほどの、真っ白なスーツに身を包んでいるせいか。 何かを想い、身を横たえる
様子は、息をのむほど美しく。 夕日に揺れる金色の瞳が何を思うのか、
橘には想像出来なかった。)



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