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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-31


(橘は、穏やかに告げ。 聖の金色の瞳が微笑んだ。)

「通せ。」

(言葉と同時に、巨大な扉が開き。 石垣が、息を切らし、怒りに震え。
室内に飛び込んできた。)

「・・っ!」

「・・貴様・・っ!」

(官邸で見せる表情とは打って変わり、開かれた目は爛々とし、灰色の髪は、
乱れていた。)

「こんな処まで。 お越しになるとは、

どうぞ。 お茶を入れよう。」

(聖は穏やかに微笑み、長い指先で、真っ白なテーブルとソファーを指し示した。)

(広い室内は、まるで聖と同じで。 すべての家具が白で統一され、壁は全て
鏡張りとなり、照明と中に居る人物。 全てを反射し、眩暈がするほど眩しかったが。)

(石垣は、まるで異空間の様なその場所に、足を踏み入れたことさえも、
気にかける余裕はなかった。)

「・・っ、どうして・・、あの子を・・っ。」

「サンプルの条件には、ぴったりだと思ったけどね。」

(聖の答えに、石垣の目が見開かれた。)

「犠牲は、大したことがないんだろう?」

「国民が、不死を得るためなら・・。」



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