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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-34


「夏樹さん・・っ、わたし・・っ!///」

(夏樹には、届かないとわかったが。 青葉は、ガラスの壁に手をやり、
夏樹に声をかけた。)

「・・青葉。」

(ガラスの向こうの夏樹が、自分の名を呼んだような気がして、
青葉の胸は熱くなった。)

『・・覚えていてくれたの・・。 今でも、あなたはそうやって・・。』

『危険な中に、身を置いている・・。』

(青葉が思いを告げようと、口を開き。 顔を上げた時だった。)

コォォォーッ!

シュンッ・・

(淡い、黄色の光が現れ。 夏樹のそばに、一人の少女が姿を現した。)

(雨に少し濡れ、まるで、すぐ近くから。 慌てて追いかけてきたように、
自然に駆け寄り。 夏樹を見つけると、ほっとした表情で、息を切らし、立ち止まった。)

「はぁっ/// 良かった・・っ/// 夏樹くんっ!」

「! 紫苑さんっ。」

「ああっ、それを使って来たのか・・。 ・・、通信してくれっていう

意味だったんだけど・・。 ははっ。」

(夏樹は思わず笑いながら、羽織っていた上着を脱いで、
雨に濡れたらしい、紫苑の背中に掛けた。)



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