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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-5


「夏樹を、何だと思っている・・。」

(聖は静かに言った。)

「僕が、どれだけ大切にしてきたか・・。」

(静かに身体を起こし、聖は両手で顔を覆った。)

「・・私には、同じことを、されているとしか。

思えませぬが。」

「くっくっくっ。 そう、僕にはっきり言うのは、

お前だけだな。 橘。」

(大きな両手を外し、銀の指輪が光る指先で、微笑む口元に触れた。)

「同じじゃないよ。 僕は、

命をかけてこのプロジェクトを始めたんだ。」

「夏樹と、賭けをしているんだよ。」

「彼は、覚えていないだろうけれど。」

(遠い過去に想いを馳せ、金色の瞳が穏やかに微笑んだ。)

「あいつに、欠片を渡しはしない。」

(聖は瞬き、胸元から、小さなメモリーを取り出し。 橘に手渡した。)

「これを、彩からの命令だと、流しておいてくれ。」

「・・宜しいのでございましょうか?」



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