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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter87 『決行』 87-7


「あのっ、今日の夜ね・・。」

(夏樹は、視線で呼び出し音の鳴った通信機を一瞬確認し、
まだ緊急でないことを判断すると、視線を上げた。)

「うん。」

ピコンッ

「あの・・っ///」

「ぷっ、はは。 ごめん。」

「うるさくて。 何? 大丈夫だから、話して。」

(思い切って話そうとした紫苑を邪魔して、通信機は鳴り続けた。)

「・・言いにくいこと? 後で聞こうか。」

「/// ううん。 今日の夜、

お仕事から帰ったら、夏樹くん。 snow dropにいるよね。」

(いつもなら、あたりまえのことを、紫苑は尋ねた。)

『・・・。 今、そのことを考えていたんだ。』

『いるだけで、影響することは。 ないんだろうか?』

(紺色の瞳は、静かに瞬いた。)

「紫苑さん。 前にもらった、《ひよこ》。 持ってる?」

「え? ・・うん。」

「静乃先生が、作り直してくれたから。 あ、でもねっ。」



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