HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter87 『決行』 87-8
「風の丘草原でスケッチした時の、絵具が落ちなくて・・。」
「羽根が青いままなの・・///」
(紫苑は鞄のポケットから、小さなひよこを取りだした。
手のひらに乗るくらい小さな鳥は。 紫苑の手の中で、目を閉じ。 ふかふかの羽毛が、
小さく鼓動し。 まるで生きている様で、機械仕掛けとはとても思えなかったが。
その身体は、すっかり鮮やかな青い色に染まっていた。)
「ほんとだ。 でも、大丈夫だろう。」
「出来れば、そばに置いておいて。
何かあったら、それを使って僕に連絡して。」
「それじゃあ。」
トッ
(言うと夏樹は、背を向け。 廊下の向こうへ歩いて行った。
階下への階段へ、角を曲がる時。 夏樹の手にする通信機が光るのが見えた。)
ガララッ
(2-Aの教室の後ろのドアが開き、佐織とチイ、駆が顔を出した。)
「どうだって? 紫苑っ。」
(佐織は期待の眼差しで、長身の背をかがめ。 背中から紫苑に抱き付いた。)
(さらさらと長いストレートの茶色い髪が揺れ、紫苑は瞬き振り向いた。)
「・・うん。 答えてもらえなかった。」
「え? 今日は帰らないのかしら?」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』