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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter88 『覚醒』 88-16
(夏樹の深い紺色の瞳が、フェルゼンを見ていた。 まるで、傷ついた者を悼むような
穏やかな瞳で。)
【あの人は、どこか孤独で・・。 そして人懐こい人だった・・。
信じる道へ進んだだけ・・。】
【遠く、離れていても・・。 夜空を見上げれば・・、そこにあの人はいる・・。】
【この国を、見守っていてくれるわ。 捨ててしまったのではないの・・。
分らない?】
『リザ・・っ。』
『どうして、あいつを、異界になど行かせた?』
(フェルゼンの心は、繰り返される過去の。 思い出に囚われていた。
その女性の時は止まり。 過去を繰り返し、怒りを念じることでしか。
その女性を存在させる術を、フェルゼンは知らなかった。)
『この国を捨てるのを、みすみす許したのか?』
『元老院共は、王の咎を隠し。 お前を反逆者に仕立て上げようとしている・・っ。』
『王を守るはずのお前が、どうやってこの国で生きるつもりだ・・っ。』
『《闇の樹》の守護者である、王室の魔導師であるお前が・・っ。 王を見捨てることなど
ありはしないのに・・っ。』
【フェルゼン・・、女王は。 私を許してくださるわ。 幸い、王家の《闇の樹》には
新たな《命》が宿った。】
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