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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-20


(善の小さな身体は、音も無く、静かに舞い上がり。 いくつもの
異空間の床を突き抜けた先、はるか上空へ飛んでいった。)

バサッ

(追いかけようとしたソラを。 ミイは、呼び止めたが。
ソラの腕を、わずかに起き上がった夏樹が、後ろからつかみ何か言おうとした。)

「何? どうした?」

(ソラは、真剣な表情で振り返り、身をかがめた。)

「・・遅い。」

「はぁっ!?/// これでもっ、せいいっぱいだっ!」

「くっくっ。」

(夏樹が笑ったので、ソラは安心してニッと笑った。)

「今日は、休みだから・・。 後は頼む。」

(僅かに微笑み、白い指先で、善の消えた。 上空を指さした。)

***

「あ・・っ、ああっ!」

(紫苑は恐ろしさに息を飲んだ。 切り離された空間通路の向こう。
目を閉じ、気を失ったままの。 青葉の車椅子の足元が、黒煙を巻き込み、
少しずつ、青葉を乗せ。 前方に押し出していた。)

ゴ・・ゴゴッ

(進む先、前面の壁は砕け。 僅かに残った破片は、進む車輪の下から。



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