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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-27


(それは、美しい異国の服で。 普段、ミイの居る街で見かける、普段着のソラと、
別人のようにさえ見え。 神々しく、凛々しく。 腰から足元へと流れる
美しい布や、整う襟元。 袖元に散りばめられる魔石の飾りが、夜光に煌めき。
白い服の肩に、水色の髪は輝き。 胸元に刻まれた、二つの樹が絡み合い、
伸びて行くさまを描いた王家の紋章が。 眩しく、ミイの瞳に映った。)

「ソラ・・。」

(晴々しいはずのその姿を見て、ミイの心は、なぜか晴れなかった。)

(あまりに遠い存在に、なってしまうような気がしたからだ。)

(それは、運命の日の前夜。
ミイは涙するような気持ちで、おだやかに微笑む。 水色の瞳を見た。)

「ミイ、内緒だ。」

「俺の、大事なものを。 ミイに預けたい。」

(ソラは、いつもと何ら変わらぬ笑顔と、気さくな仕草で。 ミイをそばに
呼び寄せると。)

(人差し指を、そっと口元にあて。 ワクワクする表情で、内緒のポーズをした。)

「(し〜っ)。」

(間近に見る水色の瞳は、煌めき。 ミイの胸は高鳴った。)

「『時を越え、祈りを交わした者の中に。 永久に守り隠される。』って、」

「ぜったいに、無くさないところじゃないとなっ。」

「お前のことなら、」

「必ず、見つける。」



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