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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-29


(その左腕は、闇の身体から削ぎ落ち。 夏樹とミイのしゃがむコンクリートの上へ
鋭い切っ先から、痛ましい音をたて、転がり落ちた。)

「・・!///」

(ミイは涙ぐみ顔を覆い。 夏樹は自身で、ミイの視界を闇から隠した。)

(その手ごたえは、ソラの心に衝撃を与えた。
悪者を倒す勇者に憧れていたのに。 まったくそれとは異なる。)

(闇から流れ出た、黒い飛沫は。 まるで悲しみの塊のように、苦しみを帯び。
返り血を受けたソラの肌を、ビリリと電流のように刺激した。)

(自身の力が、まるで、黒い液体に吸い込まれる様で。 ソラは、足元に力を入れ。
かかげた剣についた、黒い闇の雫を見た。)

『これが・・闇。 こんなやつと・・、戦い続けてるのか・・?』

『まったく、すげーな・・。』

(ソラは、剣を降り払い。 黒い飛沫を、コンクリートの地面に降り落とした。)

(鋭い銀の刀身が、真剣なソラの表情を映す。
それは、ミイの見たことのないソラの顔で。 ミイは、冷たい夏樹の腕の中で、
そっと。 僅かに夏樹の方へ身を寄せた。)

「ふぅっ・・、大丈夫?」

(夏樹は穏やかに微笑んでいた。 ミイは我に返り、はっと、顔を赤らめ。
とまどい、夏樹から距離を置きながら。 深くうなづいた。)

「・・うん///」

ゴゴッ・・ゴゴゴッ・・



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