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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-31


(どうして、そんなことを思ったのか、ミイ自身にもわからなかった。
ミイはそっと、夏樹に寄り添い。 優しく抱擁するように、辺りの大気さえ冷たくする
夏樹の。 冷やりとする背中を、そっと。 恐る恐る、小さな左手で抱き寄せ。)

『良くなりますように・・///』

(わずかにうつむき。 胸の傷に手をあてている夏樹の、氷のように冷たい手の上から。
自身の手を重ね。 夏樹の胸元に触れた。)

トクンッ・・

トクンッ・・

「・・・。」

(夏樹の深い紺色の瞳は、少し驚いた表情をしたあと。 静かに、ゆっくりと。
微笑み。 頷いた。)

「僕は平気だよ。 ソラのことを頼む。」

チリリッ

(ミイは、間近に、夏樹の首筋に光る。 銀の指輪を見た。 そこには、
さきほど、ありありと蘇った記憶の断片の中。 ソラの身に纏った白い服に刻まれていた。
そして、銀の剣に刻まれていたのと、同じ紋章が。 滑らかな光沢の上に、輝いていた。)

「・・。/// うん!///」

「すぐにっ、迎えがくるからねっ!///」

(ミイは夏樹のことが心配で、涙ぐみそうになりながら。 意を決し。
その場から、飛び立った。)

バササッ・・!

(舞い上がる羽根を見送ったあと。 一人になった夏樹は。 ゆっくりと、



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