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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-33


(菖蒲は、夏樹の様子に。 表情を凍りつかせ、駆け寄った。)

「お怪我を・・!」

(夏樹を覗き込んだとたん。 菖蒲は瞬きした。)

「くっくっ。 ソラには、皆を引き寄せる力があるのかな・・?」

「え?」

「自分が、閉ざそうと。 必死になってるのが、馬鹿らしいよ。」

「菖蒲。 ソラが皆を連れて来た。」

「僕も、行こう。」

(白い両手で覆った、夏樹の顔は、笑っていた。 喜びにも似た不思議な感情が、
夏樹の胸を温かくしていた。 これほど、重ねて。 重大なFOTの機密を破ったと
いうのに。 湧き上がる温かな想いを、抑えきれずに。 夏樹は顔を覆っていたのだ。)

トクンッ・・ トクンッ・・

「(・・すぅ。 ・・すぅ。)」

「・・よし。」

(あの強い気配に出会う度。 激しく鼓動し、痛む。 ミイが触れた、夏樹の胸の痛みは。
僅かに和らいでいた。)

***

(ミイは、上空のソラを目指し。 飛び立ちながら。
小さな指先に触れた。 夏樹の、冷たい白い肌を思い出していた。)

「すごく、冷たかった・・///」



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