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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-39


『そうだ、お前がいなくちゃ! 面白くねぇっ!』

トッ

キンッ・・

(赤い羽根で舞い上がり、善の気配の前に降りると。 ソラは、
長く、美しい剣の切っ先を。 跪く善の、頬の先へかざした。)

「そろそろ、あきらめた方が良くね〜か?」

「どうやら、俺には、やっとやる気を出した味方が

来たらしい。」

ピチャンッ

ザーッ・・

「姿を見られたくないのか知らねーが、隠れてるくらいなら。」

「とっとと帰れ、ガキんちょ。」

(風見市内を映す、その異空間には。 まだ雨が降っていた。 けれど、それは。
いつものように、冷たく。 夏樹の上には降らなかった。 隣にはソラが居た。)

(古い、恐怖を伴う記憶をいつも呼び覚ます、夜の雨も。 夏樹の心に入りこむ、
隙は無い。)

ガッ・・ ギギッ・・

(強い風は、そのまま気配の主を。 風の流れで包み。 次第にその息を詰めさせた。)

【うっ・・、ぐっ・・。】



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