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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter88 『覚醒』 88-5
(魔法陣は、星屑のように美しい火花を散らしながら、青葉の足元から湧き上がる、
黒い闇の雫を纏いながら。 黒い流れを帯び、上空から。 回転し、
夏樹の元へ撃ち込まれた。)
ゴォォォーッ! バキッ・・
バシャーンッ・・ バリバリバリバリッ
(異空間の夜空を照らすほど眩く光った魔法陣は、点火した花火のように明るく。
夏樹と紫苑の目に焼きついた。)
「きゃぁぁぁーっ! 夏樹くんっ・・!」
(魔法陣は、二人が居た異空間のガラスの床を、夏樹の身体と共に落下させ。
砕け抜けた床下へ、紫苑は身を乗り出し叫んだ。)
ガシャーンッ・・ バリバリバリッ
キラキラキラッ
(砕け舞って行くガラスの破片は、眩い光を放ち。 夏樹を押し出し、下降してゆく
魔法陣から舞い上がる小さな火花が、震撼する紫苑の頬を撫で。 遠ざかり、
小さくなってゆく夏樹の姿に息を飲み。 ベージュ色の髪が、肩に流れた。)
(それでも、風は、吹いて来ない。 先ほどの恐ろしい気配の主とともに、
夏樹の姿は、紫苑と青葉の位置から遠く。 下方の、いくつもの異空間の壁を
突き抜けた先にあった。)
「・・風を、使わないつもりなんだわ・・っ。」
「・・どうしようっ///」
(紫苑は、抜けた床で、切り離されてしまっている。 空間の向こうに視線を向けた。
目を閉じ、車椅子の上に横たわっている青葉は、わずかに闇の気配をはらんでいるが、
無事だった。)
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