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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-1


(風見市に降っていた雨は、移動し。 今は静かに、本部近くの。
ビル群の上に降り注いでいた。)

(窓を打つ雫に青葉は、静かに瞬いた。)

「あの時と同じ・・。 また雨が、彼を隠してしまったみたい。」

(意識を取り戻した青葉は、生命科学研究所に付属する病院の特別室の中に。
再び戻されていた。 以前から、外出することは困難であったが。)

(首相から厳しく言い渡され、驚くほど改善された体調とは裏腹に
今度ばかりは、外へ出ることは叶わないように思われた。)

「それでもね。

神様がいるって、思える瞬間がくるの。」

「幸せでね・・。

涙が出そうになるときがあるの。」

「だからね、わたしは信じることにしたの。」

「叶わないはずのことでもね。 信じれば、願いは叶うの。」

「夏樹さんに、会えることなんて一生ないって思ってた。

それなのに! 今日会えたの・・。」

「どんなことでも、信じるわ。」

「わたしも、いつか素敵な人と出会って・・。

恋をして。 素敵な女性になって・・。

しあわせになれるって。」



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