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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-2


「きっと、元気になるからね。」

(青葉はベッドの上から、四角いガラス窓の向こうに微笑んだ。)

「夏樹さんも・・がんばって。」

(なぜか、青葉には、すぐそばに。 夏樹がいるような気がしていた。)

***

「やはり。 面会することは出来ませんね。」

「・・、夏樹様が救い出したというのに・・。」

「私を見ただけで、もう。 FOTは出入り禁止だと、一言です。」

(空間通路の、ガラスの壁を前に。 たたずむ夏樹の隣に。
黒の燕尾服の肩に、雨粒を数滴乗せた、菖蒲が姿を現し。 憤慨した様子で、報告した。)

「うん。」

(夏樹は、静かに応えると。 そっと、手にした花束を。 空間通路のガラスの壁の
前に置いた。)

「また、僕が励まされた。」

(そういった夏樹は、穏やかに微笑んでいた。)

「え?」

「行こう。」

(笑顔の夏樹を見て、黒縁眼鏡の奥の瞳が瞬き。 菖蒲も微笑み、頷いた。)

「はい。」



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