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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-13


(夏樹の表情は曇った。)

「いえ。 闇を無くすことが出来ないなら。 僕は、意味がないと思います。」

「研究所は、別の目的で、動いているようですから。」

(真剣な表情の夏樹に、誠司は頷いた。)

「そうですか。 ならば。」

「聖さんは、欠片を守るためにそうしたのでしょう。」

(誠司の穏やかな焦げ茶色の瞳は、落ち着き。 聖に向ける信頼は、少しも揺らいで
いない様だった。)

「・・そうでしょうか?」

(夏樹は、聖と正反対とも思える誠司が。 まったく聖を疑わない事が、
不思議とさえ思えた。)

「夏樹君。 聖さんは、ああ見えて。 純粋な方です。」

「少々、性格に難があり。 理解しがたい人ですが。」

「僕は、優しい人だと思っていますよ。」

(誠司の言葉に、夏樹は瞬いた。)

「・・誠司さん。 そんなことを言う人は、誰もいませんよ。」

「重役の大臣たちだって、誰も怖がって近づかないのに。」

「・・さすがに。 聖の《友達》ですね。」

(言われて誠司は、嬉しそうに微笑んだ。)



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