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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-14


「夏樹君。 君にもわかる時が来ますよ。 彼は、愛情表現が下手なだけで、

誰よりも、君と、千波ちゃんを愛しているんですから。」

「・・はい。」

(夏樹は、誠司の笑顔に負け。 頷いた。)

「ありがとうございました。」

「桜様、誠司様、夜分に失礼致しました。 お休みなさいませ。」

「おやすみなさい。」

キイッ

バタンッ

「このくらいで、良かったかしら? あなた。」

「くすくすっ。 そうですね。 少しは、準備に時間がかせげたでしょう。」

(そう言って、誠司は。 笑顔で、再び新聞を開いた。)

***

(二人は、手前の春日家の白い二階建てのアパートを出ると、
すぐ隣。 奥に建つ、自分の部屋のある棟へ。 歩き出した。)

「お嬢様は、もうお休みになられたのでしょうか?」

「・・そうだね。」

(二階へと続く階段を上りながら、夏樹は。 左腕に留めた黒い腕時計を見た。)



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