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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-4


「あら?///」

「おや?」

(二人は、白いアーチの前で、遠くから聞こえてくる。 いくつもの賑やかな足音に
顔を見合わせた。)

***

(雨上がりの桜ヶ丘は、外灯に照らされた路面が。 明るく光り。
月明かりが覗く、雲の切れ間から。 少しずつ星空が見え始めていた。)

トッ

(スニーカーの足が降り立ち。 風見市の街並みが良く見える。 桜並木の先の、
丘の上で。 夏樹は夜風に吹かれ、一呼吸し。 目を細めた。)

「・・ふぅ。 海から吹いて来る、この街の風に触れると。 力が出る気がするな。」

「どうしてだろう?」

「この街の風は、強くて。 僕を迎え入れてくれるみたいだ。」

「それなのに・・。」

(喜びと悲しみが入れ混ざり、夏樹は両手で顔を覆った。)

『まるで、自分が汚れているようにさえ思う。』

『普通の人たちの側にいるだけで、その人たちの闇を引きだすのだとしたら・・。』

『それは、とても恐ろしいことだった。』

(顔を上げ、白い両手を見つめる。)



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