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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter89 『Friend』 89-42


【聖・・。】

(小さな少女の白い素足は。 朝露に濡れる柔らかな芝生の上に。
そっと、歩み寄ると。 真っ白なスーツの。 流れる銀髪の肩元に。 膝を折り、
深い紺色の瞳で、聖を見た。)

(小雨の中に揺れる、幾重にも重なるドレスのレースが。 淡くピンクに色づき、
小さなビーズのアクセサリーが輝く様子は。 繊細で、透き通る様に美しい。)

「・・・。 どうして、そんな顔をしている?」

「僕に、笑いかけてくれないのか?」

(力を抜いていた手に、やっと力を込め。 横たわったまま聖は、伸ばした右手で。
粒樹の頬に触れた。)

【・・・。】

チリリッ

(右手に光る金のアクセサリーの中に、眩く光る。 金の鍵飾りが揺れ、
粒樹は、小さなその両手で。 その手を頬に抱き寄せた。)

【あなたが、悲しそうだから・・。】

(粒樹の言葉に、金色の瞳は見開き。 押し出す様に、やっと言葉に吐き出した。)

「・・今のまま、力を使えば・・。」

「・・一年もつかわからない。」

(金色の瞳は歪み、きらきらと光を集めながら。 粒樹を見た。)

「・・くっくっ。 そんなこと。 わざわざ調べた僕は、馬鹿だ。」



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