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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter89 『Friend』 89-6
(深い紺色の瞳が、力を込め手を握る、白手袋のその手を。 珍しいものを見た様に、
驚いた表情で見つめていた。)
「お屋敷へ帰ると、言われたら。 どうしようかと・・。」
(その言葉に、我に返った夏樹は、瞬き。 軽く微笑みながら、
長身の、燕尾服姿の菖蒲を見上げた。)
「・・うそつけ。 この街へ来た時だって、僕が行くなと言っても。
好きに行ったくせに。」
「くすくすっ。 あれは、静乃さんの頼みでしたので・・。」
(菖蒲は、笑いながら。 そっと、雪の様に冷たい夏樹の手から。
自身の手を離した。)
***
『だから・・。』
『僕が、その手に触れよう・・。』
(小さな夏樹の手を、聖は握っていた。)
『けして、君を一人にはしない。』
(金色の瞳は、誰もが避け。 見ようとしなかった夏樹を。
間近で、真正面から見つめ。 きらきらと輝き。 微笑みかけてくれた。)
『僕だけじゃない。 いつか出会う、友が君の手を取るだろう。』
(夏樹は、わずかに思い出す。 過去の記憶に、微笑み、目を細めた。)
『だから・・。 僕と、おいで。』
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