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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter9 『行くぞ』 9-10


『菖蒲は時々鋭くて。 人々を守りたいという思いと。

普通の暮らしがしたいという僕の願いが、相反していて。

迷いそうな時に、こうして。』

『まっすぐ進ませてくれる。』

(夏樹は、視線を進む先に向けた。)

「ああ、そうだな。」

「数に惑わされてはだめだ。」

「まずは、目の前の一人を助けないと。」

ピピッ

(夏樹の手元の、ソファーに置かれた、黒い腕時計が鳴った。)

「静乃さんから、通信です。」

(菖蒲は、運転席の前、数値や波形が映し出される
モニターを見つめ、微笑んだ。)

(普通の車にはないモニターは、空間の位置情報と、
完成した結界の位置を示していた。)

(菖蒲は、指先を伸ばし、モニターのボタンを押した。)

ピッ

(画面には、職員室の中らしい景色と、笑顔の静乃が映し出された。)

[「こちらFOT分室、オペレーター静乃です。」]



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