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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter90 『恋心』 90-11


ダッ・・!

(呼吸とリズムを整え。 繰り出す歩幅は大きく。 力強く、
土を弾き。 地面を蹴った。)

「はっ。 はっ。」

(駆けて行く身体が。 スローモーションのようにゆっくりと鼓動してゆく。)

(時が止まる様な感覚の中で。
大きく振り出す手が、夏の風を切る。)

(力強い確かな感覚を、足元にとらえながら。 駆は、不思議な感覚に、
身体が包まれるのを感じていた。)

【汚らしい・・世界だ・・。】

『・・っ。』

「はっ。 はっ。」

(暮れて行くオレンジの空の向こうから。 恐ろしい気配が、流れ込んでくる。)

(それは風に乗り、駆の頬を打ち。 駆はわずかに、片目を細めた。)

【・・俺が・・。】

【創り変えて・・やるよ・・。】

(踏み出す駆の足を、何かが捕らえているような錯覚を覚えた。)

【・・リザが・・、望む世界に・・。】

ダッ・・!



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