HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter90 『恋心』 90-14


「良いよ。」

(佐織は立ちあがり。 他の部員たちに礼をすると。
袴の裾を軽く直しながら。 防具と竹刀を手に、稽古場の出口に向かった。)

「/// 先輩っ!」

「ん?」

(海里に呼ばれ、佐織は振り向いた。 長いサラサラとなびく、ストレートの茶色の髪が。
高いポニーテールに結えられ。 凛とした佐織のシルエットを美しく。
夕日に照らしていた。)

『・・先輩っ。』

「今日の、夏祭り・・っ!」

(思い切って、海里は佐織に向かい声を張り上げたが。)

(途端に、まだ、周りには。 たくさんの剣道部員たちが、海里の方を、
興味深げに見つめていることに気づき。 海里は、叫び出したい衝動と葛藤し。
唇を噛み締めた。)

「うん。

行くでしょ?」

「今から、着替えれば。 間に合うよ。」

(佐織が微笑み、海里の心は躍った。)

「はいっ! 行きますっ!」

「先輩っ、浴衣っすか?」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ