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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter90 『恋心』 90-3
「お仕事中なのに、誘えないよう・・;」
(途方に暮れ、立ち止まりながら。 頬を赤らめ、紫苑はその場で足踏みした。)
(ほんとうは、幾日も前から、誘うことは出来たのに。
毎日、学校でも、家でも。 顔を合わせているのに。
声をかけられずにいた。)
(夏樹は、FOTの本部に戻ることを避けたので。 より、家にいる機会が多かったのに。
今まで以上に、熱心で、家の中でもいつも心に留めているようで。)
(明日にせまった、夏休みの始まりなど。
無関係に思え、うきうきする自分の心と、紫苑は葛藤していた。)
「おい。 涼〜。 いいか。」
「“風見祭り”を制する者は、夏休みを制する・・っ。」
「オレは、このことをっ。 肝に銘じてきたっ。」
(俊は、いささか気落ちした様子で、やる気のなさそうな友人。 涼の机の前で、
高らかと言い放った。)
「ここで、彼女をゲットできなかったらな〜。 去年と同じっ、
むなしい夏休みが待ってるだけだぜ。」
「うるせーな。」
(涼は、不機嫌な様子で、頬づえをつきながら。 適当に教科書を鞄に詰め込んだ。)
「紫苑・・っ。」
「紫苑〜っ!」
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