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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter90 『恋心』 90-5


「涼くんっ。」

(声をかけられ、涼は振り向いた。)

「わたしも。 チイちゃんも、佐織ちゃんも行くよ。」

「向こうで会えると良いね。」

(紫苑の笑顔を見て、涼は瞬き。 何か言おうと一瞬口を開いたが。
小さく手を振り、頷いた。)

「おう。」

ガララッ

トットッ

(日差しが照りつける、青空の廊下を歩きながら。 片手に俊を抑えつけ。
涼は紫苑の笑顔を思い浮かべ、苦笑した。)

「ったく、鈍感だろ・・。

そういうことじゃねーだろうよっ。」

「・・・。 ふぅ。」

「まーいっか。 浴衣ね・・っ。 ふっふっふっ。」

「はっはっはっ。 去年は、3日間のうち、完全に見誤って会えなかったからなっ。」

「今日行くのか・・。 今年は見れるなっ。」

(僅かながら希望的にとらえることにした涼は、ニヤリと微笑んだ。)

「だろっ!」



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