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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter90 『恋心』 90-8


「夏祭り? ですか、楽しそうですね。」

(冷たい声が、すぐそばで聞こえて。 数馬はぴたっと動きを止めて。
するどい視線で振り返った。)

「・・善。 おまえっ、関係ね〜だろっ。」

「オレはっ・・。 まだ、お前のうたがいをっ、といたわけじゃね〜からなっ!」

(数馬は、すぐ隣に立つ善に向かい。 威勢を放ってやりたかったが、
あまりに冷やかに。 冷静に、善の黒い瞳に見下ろされ。 数馬の後半は、小声になった。)

「はい?」

(不敵な笑みを浮かべ、善は、数馬の隣に座る。 蒲公英に視線を向けた。)

「僕も、行っても良いですか?」

「うん!」

(満面の笑みで、即座に応えた蒲公英に。 数馬は苦い顔をした。)

『ああっ・・!;』

『ばかっ。 お前が許可だしたらっ。 こいつもついて来るだろうっ!;』

『“Friend”を持ってないやつをっ。 とおさなくできるとこもあんのにっ。』

『オレの“Friend”持ってるたんぽぽが許したら・・、ふせげね〜かもっ;』

(数馬は、茶色のふわふわの髪をくちゃくちゃにしながら。 帽子の上から、
両手で頭をかかえた。)

「くっくっ。 お友達とは、仲良くしましょうって。」



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