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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter91 『籠の中の世界(黒)』 91-10


「知らないね〜。 何のことだか。」

(仙崎は、ソラからうちわを奪い返すと。 前方を行くチイの方を見た。)

「小野瀬さんは、紫苑さんの友達だ。」

「紫苑さんのことを心配してるんでしょう。 夏樹のことで。」

(ソラは思い切って、仙崎に切り出した。 ミイやピュア。 それに、今一緒に。
前を歩いて行く皆を。 夏樹のいない間、守らなければならないと心に決めた。)

「あいつ、学校にほとんど来てないけど、何かと目立ってる。」

「小野瀬さんから、夏樹のことを聞いたって、思っても良いですよね?」

「それとも。 先輩も、何かの能力者ですか?」

「教えてください。 うかつに近づけるわけにいかないんで。」

「あいつらを、守らないと、いけないんでね。」

(ソラは、仙崎の肩に触れる手に、力を込めた。)

(仙崎は、無愛想な瞳で、ただソラを見下ろした。)

「俺の、助言で。 停学とか、退学になった生徒もいるって、知ってる?」

(仙崎の言葉に、駆が付け加えた。)

「おふくろさんが、理事長だからよっ。 小学校から大学まで。 全部な。」

「だから、FOTが学校に手を回して、メンバーを忍び込ませられるなら。

その辺のことは当然、チイからじゃなくたって聞いて知ってるよ。」



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